スポーツビジネス

2024年スポーツビジネスはどうなる?市場規模データからわかりやすく解説!

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スポーツビジネスに注目が集まっています。スポーツ庁が発表した第3期スポーツ基本計画では、2025年までにスポーツ市場規模を15兆円に拡大することを目標に掲げています。しかし、新型コロナウイルスの影響で、その達成は容易ではありません。そんな中、直近の市場動向を見ると、回復の兆しが見え始めています。以下のデータがその根拠となります。

これらの信頼できるデータソースを基に、スポーツビジネスの現状と今後の展望を探っていきましょう。

スポーツ市場規模の現状と回復の兆し

  • 2023年のスポーツ参加市場規模は約1.4兆円。コロナ前の2019年より低いが回復基調。
  • スタジアム観戦市場、スポーツ施設利用・会費市場が着実に回復。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルの共同調査によると、2023年のスポーツ参加市場規模は約1.4兆円。コロナ前の2019年の水準よりは低いものの、前年比では増加に転じています。特に、スタジアム観戦市場スポーツ施設利用・会費市場が着実に回復しつつあるのが特徴です。

例えば、Jリーグの観客動員数は、2022年シーズンに過去最高の948万人を記録しました。1試合平均の入場者数も2万人を超え、コロナ前の水準に迫っています。スポーツジムの会員数も、大手チェーンを中心に持ち直しの動きが見られます。

2023年の主要スポーツイベントと関心度ランキング!

  • 2023年の主要国際大会への関心度は、WBC(50.3%)、バスケW杯(38.7%)、ラグビーW杯(37.4%)の順。
  • 国内ではプロ野球、サッカー、バスケ、ラグビー等の人気リーグの市場拡大が期待される。

2023年は、国内外で注目のスポーツイベントが目白押しでした。三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルの調査では、以下のような関心度ランキングが明らかになっています。

  1. WBC(ワールド・ベースボール・クラシック):50.3%
  2. バスケットボールW杯:38.7%
  3. ラグビーW杯:37.4%

特にWBCは、日本代表「侍ジャパン」の優勝もあり、国民的な盛り上がりを見せました。テレビの視聴率は瞬間最高で46.0%(リアルタイム)を記録。経済効果は500億円を超えるとの試算もあります。

国内でも、プロ野球、サッカー(Jリーグ)、バスケットボール(Bリーグ)、ラグビー(ジャパンラグビーリーグ)など、人気プロリーグの市場拡大が期待されます。コロナ禍で落ち込んだ観戦需要は確実に回復しつつあり、チケット収入やグッズ販売の増加が見込まれます。

日本代表チームのファン人口急増とスポーツビジネスへの影響

野球とサッカーの日本代表ファン急増

  • 日本代表のファン人口は、野球で2,890万人(前年比+987万人)、サッカーで2,681万人(+567万人)と大幅増。
  • WBCでの野球日本代表の活躍、カタールW杯でのサッカー日本代表の躍進が追い風に。

2023年は、日本代表チームの活躍が目覚ましい年となりました。野球の日本代表「侍ジャパン」は、WBCで見事な優勝を果たし、ファン人口が前年比987万人増の2,890万人に達しました。サッカーの日本代表も、カタールW杯でドイツ、スペインを破る大金星を挙げ、ファン人口が567万人増の2,681万人となっています。

日本代表の活躍は、国民の一体感や自国に対する誇りを醸成する絶好の機会です。日本中がひとつになって選手たちを応援する姿は、スポーツの持つ力を象徴しています。こうした感動体験は、ファンの心に深く刻まれ、継続的な支持につながります。

バスケとラグビーのリーグ人気も拡大

  • Bリーグのファン人口は829万人(+328万人)、ジャパンラグビーリーグは526万人(+199万人)と急増。
  • バスケ日本代表のW杯出場権獲得、ラグビー日本代表のW杯準優勝等が人気拡大の要因か。

野球、サッカーに次ぐ第3、第4のプロスポーツとして期待されるのが、バスケットボールとラグビーです。Bリーグ(バスケットボール)のファン人口は、前年比328万人増の829万人ジャパンラグビーリーグのファン人口も、199万人増の526万人に達しました。

バスケ日本代表は、FIBA W杯でオリンピック出場権を獲得。ラグビー日本代表は、W杯で史上初の準優勝という快挙を成し遂げました。こうした国際舞台での活躍が、国内リーグの人気にも好影響を与えているようです。Bリーグ、ジャパンラグビーリーグとも、試合の観客動員数は右肩上がりです。

リストで整理すると、日本代表チームの活躍とプロリーグ人気の関係は以下のようになります。

  • 侍ジャパン(野球):WBC優勝 → プロ野球ファン拡大
  • サッカー日本代表:カタールW杯ベスト16 → Jリーグファン拡大
  • バスケ日本代表:W杯出場権獲得 → Bリーグファン拡大
  • ラグビー日本代表:W杯準優勝 → ジャパンラグビーリーグファン拡大

日本代表の活躍は、子どもたちのあこがれにもなります。憧れの選手に少しでも近づきたいと、スポーツを始める子どもが増えるかもしれません。また、企業のスポーツ支援も活発化しそうです。代表チームのスポンサーになることで、社会貢献や広告宣伝効果が期待できるからです。

スター選手の存在とスポーツビジネスの関係

  • 好きなスポーツ選手1位は6年連続で大谷翔平。2位はサッカーの三苫薫。
  • 国内外で活躍する日本人スター選手の存在が、ファン拡大とスポーツビジネス成長の鍵。

日本代表チームの活躍は、個人の活躍なくしては語れません。野球の大谷翔平選手は、今年の調査でも好きなスポーツ選手の1位に輝きました。MLBの二刀流スターとして、日本中の野球少年に夢を与え続けています。サッカーでは、欧州の名門クラブで活躍する三苫薫選手が2位にランクイン。カタールW杯でもゴールを決め、新時代のエースとして期待されます。

こうした国内外で活躍する日本人スター選手の存在は、スポーツファン拡大の原動力です。あこがれのヒーローを目の当たりにすることで、子どもたちのスポーツ熱は加速します。また、スター選手は、スポーツビジネスにとっても重要な存在です。

例えば、大谷選手の所属チームであるMLBのロサンゼルス・エンゼルスは、大谷人気に乗じてチケット販売やグッズ販売を伸ばしています。三苫選手が所属するプレミアリーグのブライトンも、日本でのファン獲得に乗り出しました。スター選手は、所属チームの「顔」として、ブランド価値向上に貢献しているのです。

企業にとっても、スター選手は格好の広告塔です。CMキャラクターに起用したり、スポンサー契約を結んだりすることで、商品やサービスの認知度アップが見込めます。スター選手の発言や行動は、メディアで大きく取り上げられるため、広告効果は絶大です。

スポーツ実施者のニーズ変化とビジネスチャンス

コンビニジムの利用目的とターゲット層

  • コンビニジムの利用目的は「ダイエット」「ボディメイク」が上位。
  • 健康志向の高まりを捉えた新たなフィットネスビジネスの可能性。

スポーツ参加人口の拡大は、スポーツビジネス成長の原動力です。その意味で、スポーツ実施者のニーズやトレンドを把握することは極めて重要です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルの調査では、健康志向の高まりを反映し、コンビニジムの利用目的として「ダイエット」「ボディメイク」が上位に挙がっています。

コンビニジムとは、駅前や商業施設内など利便性の高い場所に立地し、低価格で24時間利用できるフィットネスジムのことです。1回数百円から利用でき、忙しい現代人のニーズにマッチしています。短時間でも気軽に体を動かせる場所として、若者を中心に人気を集めています。

従来のフィットネスクラブと比べると、コンビニジムの利用者は「ダイエット」「ボディメイク」を重視する傾向にあります。一方、フィットネスクラブ利用者は「健康維持・増進」を目的とする人が多いのが特徴です。こうしたニーズの違いを踏まえ、ターゲットを明確にした商品・サービス開発が求められます。

例えば、コンビニジムであれば、ダイエット効果の高いプログラムやボディメイクに特化したマシンの導入が有効でしょう。「短期集中ダイエットコース」など、明確な目的を打ち出したプランも人気を集めそうです。インスタグラムなどSNSとの連動も欠かせません。ダイエットやボディメイクの成果を写真に収め、仲間と共有する。そんな楽しみ方を提案できれば、若者の心をつかむことができるはずです。

流行りのチョコザップとは?

最近のコンビニジムで人気なのが、「チョコザップ」と呼ばれるコンビニジムです。「チョコ」は「ちょこっと」の意味で、ライザップが運営してることから、この名前がつきました。

SNSを中心に口コミで広がったチョコザップは、時間がない人や運動が苦手な人に支持されています。コンビニジムとしてチョコザップは新たな顧客層の獲得をして全国に商圏を拡大してます。

最近では、スマートライフジムとして、MRIやカラオケなど、あらゆるサービスとの組み合わせで更なる顧客の獲得を目指しています。

「chocoZAP」 新サービス7種の本格導入を決定ジムの常識を超えた「スマートライフジム」に向けて新領域に展開
チョコザップ、カラオケや洗濯乾燥できる7種の新サービス追加 運動しなくてもよいジムへ

障害者スポーツへの関心の高まり

  • 障害者スポーツは若年層ほど関心が高い。
  • パラスポーツの認知拡大と参加機会創出が課題と機会。

東京パラリンピックの開催は、障害者スポーツの認知度向上に大きく貢献しました。三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルの調査でも、障害者スポーツへの関心度は着実に高まっています。特に、若年層での関心の高さが目立ちます。

10代、20代の若者の間では、パラスポーツに「とても関心がある」「やや関心がある」と答えた人の割合が、他の世代を大きく上回っています。パラリンピックで活躍した選手たちのすごさを目の当たりにし、障害者スポーツの魅力に気づいた若者が増えているのでしょう。

しかし、障害者のスポーツ実施率は依然として低い水準にあります。スポーツ庁の調査では、成人の週1回以上のスポーツ実施率は、障害者では20.8%にとどまっています(一般成人は55.1%)。障害者がスポーツに親しむための環境整備は、まだ道半ばといえます。

パラスポーツの普及には、以下のような課題があると指摘されています。

  • 障害者スポーツに関する情報不足
  • 指導者の確保・育成
  • 活動場所・施設の不足
  • 用具の高額さ

一方で、これらの課題解決は、新たなビジネスチャンスでもあります。

例えば、パラスポーツの魅力を伝える情報メディアの創出。専門性の高い指導者を育成し、障害者向けのスポーツ教室を展開する。バリアフリーに配慮した活動場所をコーディネートするサービス。障害者の体型に合わせて用具を開発・販売する――。パラスポーツの可能性に着目し、ビジネスとして成立させる発想が求められます。

企業にとっても、障害者スポーツ支援は、**社会的責任(CSR)**を果たす絶好の機会です。パラアスリートのスポンサーになることで、「共生社会の実現」に向けた姿勢を示すことができます。また、企業イメージの向上にもつながるでしょう。

行政には、障害者のスポーツ参加を後押しする施策の拡充が求められます。東京都では、パラリンピアンを学校に派遣する「夢・未来プロジェクト」を実施。子どもたちにパラスポーツの体験機会を提供しています。こうした地道な活動の積み重ねが、理解を深め、参加の輪を広げることにつながります。

障害者スポーツは、多様性を認め合う社会の実現に寄与します。「できない」を「できる」に変える。スポーツの力で、誰もが活躍できる場をつくる。そんな取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の理念とも合致します。障害の有無を越えて、皆がスポーツを楽しめる。そんな未来につながるヒントが、障害者スポーツの現場に隠れているのかもしれません。

第3期スポーツ基本計画とポストコロナのスポーツビジネス

スポーツ市場規模の目標と現状

  • 第2期計画では2025年までに15兆円が目標も、コロナ影響で達成は困難か。
  • 2021年は前年比15%減の見通し。2025年は8.4兆円の予測。

ここで、国のスポーツ政策の方向性を確認しておきましょう。スポーツ庁は第3期スポーツ基本計画(2022~2026年度)において、スポーツ市場規模を2025年までに15兆円に拡大するという野心的な目標を掲げています。しかし、新型コロナの影響で、その達成は困難な情勢です。

スポーツ庁の検討会議資料によると、直近の予測では以下のようになっています。

  • 2021年のスポーツ市場規模は前年比15%減
  • 2025年は8.4兆円にとどまる見通し

新型コロナによるスポーツイベントの中止・延期、スポーツ施設の休業などで、スポーツ市場は大きな打撃を受けました。2011年に5.5兆円だったスポーツ市場規模は、コロナ前の2018年には9.1兆円まで拡大。順調に成長していたものの、コロナ禍で足踏み状態となっています。当初目標の15兆円達成は、かなり厳しい状況といえるでしょう。

ポストコロナのスポーツビジネス再活性化への具体策

  • スタジアム・アリーナ整備、スポーツ×デジタル、スポーツの社会的価値発信等に注力。
  • スポーツ団体の経営力強化、人材育成にも継続的に取り組む方針。

ただし、スポーツ庁は目標達成のための具体策を打ち出しています。ポストコロナを見据えたスポーツビジネスの再活性化へ、官民挙げての動きが本格化しつつあります。

第3期スポーツ基本計画では、以下のような施策に注力する方針が示されました。

  • スタジアム・アリーナの整備
  • スポーツとデジタル技術の融合
  • スポーツの社会的価値の発信

また、スポーツ団体の経営力強化人材育成にも、引き続き取り組むとしています。

コロナ禍で明らかになったのは、スポーツ組織のデジタル化の遅れです。生配信やオンラインサービスへの対応に苦慮するリーグ、チームが少なくありませんでした。デジタル技術の活用は、ポストコロナのスポーツビジネスを左右する鍵となるでしょう。チケット販売、ファンサービス、広告宣伝など、あらゆる場面でデジタルシフトが求められます。

もうひとつ重要なのは、「スポーツの社会的価値」の再認識です。コロナ禍でスポーツが制限された経験は、私たちにスポーツの大切さを実感させました。スポーツは、心身の健康を支え、人と人をつなぎ、地域に活力をもたらします。こうしたスポーツの多面的な価値を改めて見つめ直し、社会に発信していく。それが、スポーツへの共感や支援を集める近道になるはずです。

行政の旗振りに加え、民間の創意工夫も欠かせません。withコロナ、afterコロナ時代のスポーツビジネスを切り拓くのは、民間事業者の柔軟な発想です。スポーツ庁は、スポーツ団体と企業の連携を後押しする「オープンイノベーション」事業を展開。斬新なアイデアやビジネスモデルの創出を支援しています。ウィズコロナ社会とは、スポーツの新しい楽しみ方、関わり方を模索する社会でもあります。

地域スポーツエコシステム構築とスポーツ市場の関係

スタジアム・アリーナ整備の進捗と情報共有

  • 2025年までに20拠点整備が目標で順調に進捗。
  • 選定拠点を核とした情報集約と横展開が鍵。

スポーツ市場の拡大には、地域におけるスポーツ振興が欠かせません。その象徴ともいえるのが、スタジアム・アリーナの整備です。Jヴィレッジ(福島)、豊田スタジアム(愛知)など、地域の魅力を高める施設が続々と誕生。2025年までに、全国20拠点の整備が目標とされています。

スポーツ庁によると、スタジアム・アリーナ整備は順調に進んでいるといいます。2021年6月時点で、11拠点が「運営・管理」「設計・建設」の段階に入っています。残る9拠点も「構想・計画」を進めており、目標達成に向けて着実に歩を進めているようです。

ただし、施設整備だけでは不十分です。肝心なのは、スタジアム・アリーナを核とした地域スポーツエコシステムの構築です。

地域スポーツエコシステムとは、地域の様々なアクターが連携し、スポーツを通じた地域活性化を目指す仕組みのこと。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  • プロスポーツチームと地元企業のタイアップ
  • スポーツイベントと観光・物産展の同時開催
  • 住民参加型のスポーツ教室、大会の実施
  • スポーツを通じた健康づくり、まちづくり

こうした取り組みを有機的に結びつけ、持続可能な「好循環」を生み出すのが理想です。スタジアム・アリーナは、その触媒として機能します。

各地のスタジアム・アリーナでは、先進的なチャレンジが続いています。札幌ドームでは、コンサートやイベントとの相乗効果を狙った複合施設化が進行中。県立カシマサッカースタジアム(茨城)では、住民参加型のスポーツイベントを定期的に開催。スポーツを入り口に、地域コミュニティの活性化を図っています。

ただ、こうした先進事例の共有は、まだ十分とは言えません。スタジアム・アリーナの成功モデルを横展開するには、情報集約と発信が鍵を握ります。スポーツ庁は、各拠点の取り組み状況をウェブサイトで公開。さらに、拠点間の情報交換の場を設ける方針です。選定拠点が知見を共有し、切磋琢磨し合う。そんな姿勢が、地域スポーツエコシステムの進化を加速させるはずです。

スポーツを核とした地域活性化モデルの探索

  • スポーツと地域産業の融合による新ビジネス創出。
  • 地域版スポーツオープンイノベーションプラットフォーム(地域版SOIP)の構築支援。

スタジアム・アリーナ整備と並行して探求すべきは、スポーツを核とした地域活性化モデルの確立です。「する」「みる」「ささえる」スポーツを入り口に、新たな価値を生み出す。それが、地域スポーツエコシステム構築の目的であり、スポーツ市場拡大の原動力ともなります。

その鍵は、スポーツと地域産業の融合にあります。例えば、こんな取り組みが考えられます。

  • プロスポーツチームと地元農家のコラボ商品開発
  • スポーツイベントと連動した地域限定ツアーの造成
  • トップアスリートを起用した特産品のPR

スポーツの力を、観光、物販、交通など、地域の様々な産業に波及させる。そのためには、スポーツ団体と企業の垣根を越えた連携が不可欠です。実は、スポーツ庁は、そうした異業種間連携を支援する新たな仕組みづくりに乗り出しています。

地域版スポーツオープンイノベーションプラットフォーム(地域版SOIP)の構築です。地域版SOIPは、地元のスポーツチームと企業をマッチングし、新事業創出を後押しする役割を担います。2021年度は、4地域で先行的にプラットフォームの立ち上げを支援。スポーツ庁は、こうした地域の主体的な取り組みを側面から援助していく方針です。

地域スポーツエコシステムの確立は、一朝一夕にはなりません。スポーツと異業種、行政、大学、住民――。多様なプレーヤーが対話と実践を重ねる中で、ビジネスモデルを磨き上げていく。そうした地道な取り組みの先に、スポーツを基軸とした地方創生の道筋が見えてくるはずです。

スポーツ×デジタル技術で市場拡大への挑戦

スポーツ界にもIT挑戦を!
近年よく言われるDXやIT化をスポーツでも進めることで、さらにスポーツビジネスも発展してくと思います。

デジタル活用の新サービスで収益源多様化

  • スポーツ団体のデジタル技術活用、データ価値発信を促進。
  • NFTやスポーツ
  • ベッティング等の新ビジネスの調査・検討。

第3期スポーツ基本計画でも重視されているのが、スポーツとデジタル技術の融合です。コロナ禍で、リモート観戦、オンライントレーニングなど、デジタル技術を活用した新たなスポーツの楽しみ方が広がりを見せました。ポストコロナのスポーツビジネスは、この流れをさらに加速させていくことが求められます。

スポーツ団体は、デジタル技術の活用により、新たな収益源の確保を目指します。スポーツデータの活用によるファン体験の充実、**NFT(非代替性トークン)**の発行、スポーツベッティングの解禁など、新たなビジネスモデルが検討されています。

例えば、Jリーグでは選手のパフォーマンスデータをリアルタイムで配信するサービスを導入。ファンは試合中の選手の動きを、独自の指標で評価することができます。こうしたデータを「見える化」することで、新たな観戦体験を提供しています。

NFTは、ブロックチェーン技術を活用したデジタルコンテンツの所有権管理システムです。スポーツ分野では、限定グッズや動画の販売などに活用され始めています。NFTは、希少性や真正性を担保できるため、ファンの購買意欲を掻き立てる効果があります。

スポーツベッティングは、スポーツの勝敗や得点などを予想し、賭けを行うゲームのこと。欧米ではメジャーなスポーツビジネスですが、日本では違法とされてきました。ただ、昨今はスポーツ振興の観点から、解禁に向けた議論が本格化しつつあります。スポーツ庁も、スポーツベッティングの在り方について検討を進めています。

ただし、デジタル活用には課題もあります。例えば、データ配信では選手のプライバシー保護と、ファンの「知る権利」のバランスが問われます。NFTやスポーツベッティングには、法的な整理も必要です。技術の進展に合わせ、ルールづくりを急ぐ必要がありそうです。

既存市場の変革にもデジタル技術の導入を

  • 企業スポーツやスポンサーシップ等の収益構造見直しにデジタルの力を。
  • デジタル人材の育成・確保にも注力したい。

デジタル技術は、新サービス開発だけでなく、既存ビジネスの変革にも効果を発揮します。例えば、企業スポーツの分野では、デジタル技術を活用した新たな取り組みが進んでいます。

パナソニック ワイルドナイツ(ラグビー)は、練習の様子をライブ配信するファンサービスを展開。デンソー アイリス(バレーボール)は、AIカメラで撮影した選手の動きをデータ化。トレーニングの効率アップを図っています。デジタル技術で、企業スポーツの「見える化」が加速しつつあります。

スポンサーシップも、デジタル技術の力を借りて進化の途上にあります。スポンサー企業は、スポーツイベントへの出資に加え、SNSを活用したプロモーションに注力。アスリートのSNS投稿と連動したキャンペーンを展開するなど、デジタルならではのスポンサー効果を追求しています。

ただ、デジタル活用を担う人材は決して多くありません。デジタルスキルを備えたスポーツ人材、スポーツ理解に長けたデジタル人材。そうした「デジタルスポーツ人材」の育成・確保は、各団体が直面する共通の課題となっています。

この点、スポーツ庁はスポーツ団体と大学、民間企業の連携を後押ししています。デジタルスポーツ人材の育成プログラムの開発などを通じ、人材の厚みを増していく考えです。産学官が三位一体となって、スポーツのデジタルシフトを支える基盤を整備していく。そんな息の長い取り組みが求められます。

2024年のスポーツビジネス市場の展望

  • ポストコロナでスポーツビジネスは着実に回復の兆しあり。
  • 2024年は地域発のスポーツビジネス、デジタル活用の成果が問われる年に。
  • スポーツの価値を再定義し、新たなスポーツ市場の創出に産官学で挑戦したい。

さて、スポーツビジネスの現状と課題を概観してきました。コロナ禍で落ち込んだスポーツ市場は、回復の兆しを見せ始めています。2024年のスポーツビジネス市場は、さらなる成長軌道に乗ることができるでしょうか。

鍵を握るのは、地域とデジタルの二つのキーワードです。地域発のスポーツビジネスデジタル技術の活用。この二つの潮流が、ポストコロナのスポーツ市場を力強く牽引していくはずです。

地域では、スタジアム・アリーナ整備を起点とした、スポーツエコシステム構築の動きが加速しそうです。スポーツを核に、地域の多様な関係者が連携し、価値創造に挑む。2024年は、そうした「共創」の成果が問われる年になります。

一方、デジタル領域では、新サービス開発競争が過熱しそうです。スポーツデータ、NFT、スポーツベッティング――。新技術を駆使し、スポーツの新しい楽しみ方、ビジネスモデルが続々と登場するでしょう。2024年は、デジタル活用の優劣が、スポーツビジネスの明暗を分ける年となります。

ただし、本当の意味でのスポーツビジネスの飛躍は、スポーツの価値を再定義することから始まります。スポーツは、人々に感動や興奮、楽しみを提供するエンタメコンテンツであると同時に、健康増進や地域活性化、教育など、社会課題の解決に資する存在です。

そうしたスポーツの多面的な価値を再発見し、新たなビジネスの種を探る。スポーツ団体、企業、大学、行政など、スポーツに関わる全てのプレーヤーに求められるのは、そんな価値共創の姿勢ではないでしょうか。

2024年のスポーツビジネス市場は、こうした産官学の創意工夫の結晶として描かれることになります。個人がスポーツを「支える」方法も多様化するはずです。自分の応援したいアスリート、チームを直接的に支援する動きが広がりを見せるかもしれません。

変革の時代だからこそ、原点に立ち返る。スポーツの価値とは何か。スポーツを通じて、私たちは何を実現したいのか。その答えを探る旅が、新たなスポーツ市場への道を拓いていく。2024年は、スポーツの未来を展望する絶好の機会となりそうです。

スポーツビジネスの基礎情報
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